最近、増えている派遣看護師。
● 稼げる?
● 期間はどのくらい?
と、思ったことはありませんか?
見るサイトによって、期間や種類がいろいろで、よくわからないことも。
この記事では、派遣看護師の種類や期間、給料、メリット・デメリット、社会保険や有給、確定申告についてご紹介しています。
結論として、派遣看護師のポイントは、
● 安定・収入を求めるなら正職員
● 単発・短期はお小遣い稼ぎでアリ
自分に合った働き方を探そう!
それでは、詳しく解説していきます。
派遣看護師の基本(種類、期間)
派遣看護師と、通常の就労看護師との大きな違いは、契約を結ぶ雇用先です。
派遣看護師 | 通常の就労(正職員・パート・アルバイト) | |
雇用先 | 派遣会社 | 就労先 |
そのため、給料や労働条件などについては、派遣会社とやりとりをしていくことになります。
種 類
派遣看護師は、大きく分けて3つの種類があります。
登録型派遣 | 派遣のたびに、雇用契約を結ぶ派遣 派遣期間が終了すると、雇用契約も終了する 【メリット】 フルタイムから短期、単発まで、幅広い派遣がある |
紹介予定派遣 | 派遣先の施設などで、将来的に直接雇用に切り替わることを前提とした派遣 派遣期間は最長6か月 【メリット】 職場の試し就労ができる 合わない場合は、次の派遣先を試すことができる |
常用型派遣 | 派遣会社の社員として、各所で働く派遣 派遣期間が終了しても雇用契約は継続され、新たな職場に派遣される 【メリット】 次の派遣先が見つかるまでの間も給料が支払われる |
よく見かけるのは、登録型派遣、紹介予定派遣になると思います。
「産休育休代替」「介護休業代替」など、休みを取得する職員の代わりに働く派遣があります。これは、登録型派遣か、常用型派遣のどちらかで派遣される形になります。
期 間
期間でみると、4つの種類があります。
● 単発派遣 … 1日~1週間
● 短期派遣 … 2~3か月
● 長期派遣 … 3か月(更新あり)~最長3年
● 紹介予定派遣 … 6か月未満
※社会保険が適応となるのは、
有給は、基本的に6か月以上から付与されます。紹介予定派遣の場合、派遣先に正規雇用後、派遣期間と合わせて6か月経過後に付与されます。
日雇い派遣の禁止 ー 例 外 ー
労働者派遣法により、30日以内の日雇い派遣は禁止されています。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、日雇い派遣は認められます。
● 60歳以上
● 雇用保険の適用をうけない学生
● 副業として従事する者(本業収入500万円以上)
● 主な生計者以外の者(世帯収入500万円以上)
● 社会福祉施設などへの日雇い派遣
派 遣 先
看護師の派遣は、労働派遣者法によって、派遣先により一部禁止されています。
ただし、条件を満たすことによって、これらの派遣が可能になります。
主な派遣先は、以下のとおりです。
通常の派遣 | 紹介予定派遣 | 産休・育休・介護休業代替 | |
病院 | × | ○ | ○ |
診療所 | × | ○ | ○ |
助産所 | × | ○ | ○ |
介護老人保健施設 | × | ○ | ○ |
訪問看護 | × | ○ | ○ |
特別養護老人ホーム | ○ | ○ | ○ |
有料老人ホーム | ○ | ○ | ○ |
デイサービス | ○ | ○ | ○ |
社会福祉施設 | ○ | ○ | ○ |
訪問入浴 | ○ | ○ | ○ |
健診 | ○ | ○ | ○ |
保育園 | ○ | ○ | ○ |
企業 | ○ | ○ | ○ |
イベント | ○ | ○ | ○ |
つまり、紹介予定派遣や、産休や育休、介護による休業者の代替となる派遣の場合、通常禁止となるような派遣が可能となります。
ちなみに、2021年の法改正により、へき地の病院などへの派遣(離島など)、社会福祉施設などでの日雇い派遣が可能になりました(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行
令の一部を改正する政令の公布について 厚生労働省)。
給 料
パート・アルバイトに比べると、時給100~500円高くなる傾向にあります。
1日8時間、月20日働いた場合の月給の目安は以下のとおりです。
時 給(円) | 月 給(円) |
---|---|
1,400 | 224,000 |
1,500 | 240,000 |
1,600 | 256,000 |
1,700 | 272,000 |
1,800 | 288,000 |
1,900 | 304,000 |
2,000 | 320,000 |
正職員やパートと比べると、変わらないか、少し多めの月給となります。
ただし、ボーナスはないため、年収でみると、正職員の方が高くなります。
ちなみに、派遣会社により、時給アップの交渉は可能です。時給が100円あがれば、1日8時間、月20日で、月16,000円上がります。
高時給の求人は、急募であったり、多忙であったり、都心から離れていたり、高い専門性が求められる可能性もあるので、その見極めが重要になります。
この金額から、
税金や保険料がひかれるよ!
メリット
派遣看護師のメリットは、以下のとおりです。
● お試し勤務ができる
● 委員会や研修、勉強会などへの参加は免除
● 高時給、確実な時間外手当
● プライベート優先しやすい
● 人間関係のストレスが少ない
これらをまとめると、「割に合う」働き方を探しやすい、ということになります。
つまり、時間外勤務は少なく、正職員に比べて業務負担も少なく、相応の給料が支払われます。この状況下で、自分に合った働き方や、働く場所を探すことができます。
お試し勤務ができる
「紹介予定派遣」では、正規雇用を見越したお試し勤務が可能です。もし、その職場が自分に合わない場合は、派遣期間が終われば、スマートにその職場での勤務を終了することができます。
また、派遣看護師の求人は、様々な派遣先があります。そのため、「どんな仕事に自分が合っているかわからない」といった場合でも、色々な仕事を気軽に試すことができます。
履歴書の経歴も、派遣会社を書けばよいので、スマートですよね。
つまり、スマートに色々な経験ができる、といったメリットがあります。
いい働き先を探すのは大事!
委員会や研修、勉強会などへの参加は免除
派遣看護師は、責任の重い仕事や立場、時間外業務となるような業務は免除されやすいです。
そのため、委員会や研修、勉強会などへの参加は免除されることが多いです。
その分、正職員と比べて、仕事の負担は少ない、ということになります。
高時給、確実な時間外手当
派遣看護師の時給は、パートやアルバイトよりも高めの設定になっている傾向にあります。
また、月収としては、正社員と変わらないか、少し多めの収入です。
さらに、時間外業務は少なく、確実に時間外手当を受け取ることができます。
看護師の平均時間外勤務時間は17.4時間、申告しているのは平均8.7時間です。このデータと比べると、派遣看護師は相応の給料が支払われるといえるでしょう(2021年 看護職員実態調査 日本看護協会)。
プライベート優先しやすい
休みの取り方は、働き方によりさまざまです。
例えば、以下のような働き方ができます。
隔日週3日休み
● 派遣終了後にしばらく休み
● 単発派遣の組み合わせ
色々な派遣先、派遣の種類があるので、自分の生活に合った働き方の幅も広がります。
夜勤がある職場で夜勤をしなくても、負い目は少ないでしょう。
人間関係のストレスが少ない
派遣看護師は、雇用先が違うので、正職員と一線おかれた立場に立つことが多いです。
また、人間関係が大変であれば、派遣期間終了後に次の派遣先へ行けばいいという安心感もあります。
さらに、トラブルが発生すれば、派遣会社が間に入って対応してくれます。
人間関係にあまり気をとられず、仕事に集中したいという人には、派遣看護師は働きやすいのかもしれません。
人間関係は大切。
派遣で職場の雰囲気がつかめるよ!
デメリット
派遣看護師のデメリットとしては、こちら。
● 年収は正職員より少ない
● 福利厚生は期待できない
● 安定性がない
● 派遣先は一般の求人と少し違う
やはり、収入や安定性の面では、正職員の方に軍配があがります。
年収は正職員より少ない
派遣看護師は、ボーナスが支払われません。
その分、年収でみると、正職員の方が年収は高くなります。
昇給はありませんが、そこは時給を挙げてもらえれば少しはカバーできるでしょう。しかし、管理職への昇格などは難しいため、大きな昇給は期待できません。
お金優先なら正職員!
福利厚生は期待できない
福利厚生は、大きく2種類あります。
法定福利厚生 | 法定外福利厚生 |
(企業の義務) ● 健康保険 ● 厚生年金保険 ● 介護保険 ● 労働保険(労災・雇用) ● 子ども・子育て拠出金 ● 障害者雇用納付金 ● 年次有給休暇 など | (企業は任意) ● 住宅手当 ● 家族手当 ● 資格取得手当 ● 健康・医療関連 ● 育児・介護支援 ● 交通費 ● 特別休暇 ● 食事補助 ● 退職金 ● 慶弔・災害補助 ● 余暇・レクリエーション補助 など |
派遣会社により、福利厚生はさまざまです。
ただ、法定外福利厚生は、あまり期待できないところが多いようです。交通費が出るところは多いようですが、どのような福利厚生があるかは、確認しておきたいポイントです。
ちなみに、育児休業給付は、雇用保険から支払われます。休業開始前2年間に11日以上働いた月が12か月など、支払い要件があります(育児休業給付の内容と支給申請手続き 厚生労働省)。
出産育児一時金は、健康保険から支払われます(出産育児一時金の支給額・支払方法について 厚生労働省)。
安定性がない
派遣という形なので、「派遣切り」にあう可能性はあります。
理由は、派遣先の求める人材ではなかったり、雇用契約期間が終了したりとさまざま。
また、派遣看護師は3年以上同じ場所で働くことはできません。
部署を変えると、同じ派遣先で働くことは可能です。ただし、有給付与がつく6ヵ月以上は派遣切りに合いやすいという話も。
派遣先は一般の求人と少し違う
当然ですが、派遣先は、派遣を求めている病院などです。
派遣を雇うと、その分派遣先にとっては、お金がかかったり、手間がかかったりします。そのため、派遣先は一般の求人とは少し違ってきます。
例えば、大きな企業や、人手不足が深刻な場所、休業代替えなどの有期の場所だったりします。
逆に言えば、一般の求人では出会えない働き先に出会うチャンスにもなります。
近場の求人を
みてみるのもいいかも
ここが気になる ー 社会保険・確定申告・有給 ー
社会保険
社会保険に入れるか否かという点は大切ですよね。
それぞれの加入条件をまとめました。
健康保険・厚生年金保険
● 週の労働時間が、正職員の3/4以上
(週30時間以上)
● 2か月以上の雇用の見込み
● または、以下の全てに当てはまる場合
・週の労働時間が20時間以上
・基本給+諸手当:月8.8万円以上(時間外手当・ボーナスは含まない)
・2か月以上の雇用の見込み
・学生ではない
・従業員数101人以上の企業
2か月以内の雇用契約だと、加入の対象となりません。ただし、更新の見込みがある場合は、加入対象となります(厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の勤務期間要件の取り扱いが変更になります 日本年金機構)。
介護保険
健康保険加入者は、40歳以上で加入となります(介護保険制度の概要 厚生労働省)。
労働保険(労災・雇用)
労災保険は、1日でも働けば加入対象となります。
雇用保険の加入条件は、以下のとおりです。
● 雇用期間が31日以上
● 週の労働時間が20時間以上
(参考)労働保険(労災・雇用)に入る義務があります。 厚生労働省
確定申告
確定申告は、年末までに働いていれば、基本的には派遣会社が年末調整してくれるので不要です。
確定申告が必要な場合はこちら。
● 本業以外の収入が20万円以上ある
(不動産賃貸、株式譲渡、副業、贈与など)
● 年末調整の対象外
(年収2,000万以上、災害減免法で所得税の猶予を受けている)
● 控除を申請する人
(医療費、寄付金、住宅ローンなど)
● 会社が年末調整をしていない場合
派遣会社の場合、所得税は天引きされても、住民税は天引きされないケースが多いです。
そのため、住民税は自分で納める必要があります。
とはいえ、住民税の納付は簡単!
市役所から納税通知書が6月頃に届くので、それに沿って納税するだけ。コンビニなどで支払いができます。
有給休暇
有給休暇は、6か月以上働くと付与されます。
有給休暇の付与日数は、こちら。
勤続年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
週の労働時間が30時間未満の場合は、こちら。
まとめ
この記事では、派遣看護師の種類や期間、給料、メリット・デメリット、社会保険や有給、確定申告についてご紹介しました。
結論としては、
● 「割に合う」働き方を探せる
● 安定・収入を求めるなら正職員
● 単発・短期はお小遣い稼ぎでアリ
派遣看護師1本で働くことを考えると、期間が短いと、社会保険や有給取得の対象外になるので注意が必要です。
派遣で働きやすい職場を探し、後々派遣先で正職員を目指すのもいいかもしれません。
継続できる働き方が
見つかりますように!
看護師としての幸せな働き方を探している方の、少しでも力になれれば嬉しいです。
今日も、肩の力を「はぁ~」と抜きましょ(*´Д`)
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